
美容室の開業オープン時に、確認しておいたほうがいいこと7選
近年、美容室は数を増やしているので、競争環境は厳しくなっています。
そのため、安易な気持ちだけで独立開業し、オープンすればどうにかなるという気持ちでいるようでは勝ち抜いていけません。
しかし、独立するといっても、何から手をつけたらいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。
独立開業を検討している美容師の方は、まずこの記事を読んで、おおまかな流れやイメージをつかんでみてください。
美容業に関する調査結果や実際の開業事例から、知っておくべきお役立ち情報を、たくさんまとめてみました!!
独立開業をお考えの方、必見ですよ!
目次
◆美容室の開業は、「個人」or「法人」どちらがいいの?
厚生労働省が調べた美容室の運営形態の調査結果(平成27年度)によると、個人経営が88.7%と圧倒的に多く、株式会社・有限会社は10.6%となっています。
なぜ、個人事業がよいのでしょうか?
個人事業で始めるオーナーが多い理由はコチラ↓
①開業手続きが簡単。
②確定申告も法人より簡単。
③利益が少ないと税金の負担が軽い。
④負担が大きい社会保険への加入は任意。
⑤廃業する場合も法人より簡単。
また、気になる融資の部分においても、審査上有利になるかはほとんど関係ありませんので、お金がかからず、届出なども簡単な個人事業から始める人が多いようですね。
◆美容室開業の準備はいつから始めるべきか?
開業までのおおまかな流れは
1.お店のコンセプト設計・プランニング
2.資金計画・事業計画
3.物件選び・物件診断・決定
4.資金借り入れ申し込み書の作成・申請
5.店舗デザイナーと打ち合わせ
6.工事契約・施工~完了
7.美容機器・備品類の調達
8.広告宣伝・販促物準備
9.引き渡し~オープン!
となっています。
半年間でこれらを行う人もいれば、何年もかけてじっくりと準備をする人もいます。
開業にあたっては、さまざまな人と細かな交渉がたくさん出てきますし、想定外のアクシデントやトラブルもつきものです。
自分が納得できるようなサロンを目指すには、逆算して、余裕をもったスケジューリングをしていくことが大切です。
◆自己資金の準備を始めた時期
開業するにあたって、何はなくともお金。そう、開業資金が重要ですね。
融資を申し込むにあたっても、最低限の自己資金は必要となりますので、準備をするために毎月コツコツ積み立てを行う必要があります。
平成27年度の日本政策金融公庫の「創業者の実態」という調査結果によると、3か月以内という短期間で貯めたという人も3割弱いますが、半数以上は1年以上も前から自己資金の準備を進めているようです。
計画的に準備を進めていることがわかります。
もし、日本政策金融公庫で融資を受ける場合には、直近半年分の通帳コピーを提出しなければなりません。
半年間を見て、その方の経済状況を確認するのです。
・直近半年間で毎月少しずつ貯蓄が増えているか
・家賃やクレジットの支払いを期日通りに支払っているか
現在は、自己資金要件額が緩和されてきていますが、あくまで「要件」であって実際に融資されるかは別問題です。
自己資金ゼロで融資がもらえます!などの情報もよく見かけますが、開業がゴールではありません。あくまで通過点ですから。
万が一融資されたとしても、実際の借入れ比率が極端に高いと返済額も多くなり、サロンを存続していくのが難しくなってしまいます。
必要とする開業資金額にもよりますが、最低でも半年、目標1-2年、理想は3-5年かけてコツコツ貯めていけるかということが、開業後、経営していく上でも大切な力だと言えます。
◆開業時に注意しておけばよかったと感じることトップ5!!
日本政策金融公庫が、新規開業者に対して行った「美容室の開業時に注意しておけばよかったと感じること」に関するアンケートがあります。
このような失敗や後悔を事前に知って、学んでおくことが大切です。
それでは見ていきましょう!
第1位:自己資金が不足していた。 32.9%
オープンすると、起動に乗るまでは自己資金は減るばかり。
開業前の準備がいかに大切か、開業後にいかに苦労した人が多いか。。。
先にもお伝えしていたとおり、何はなくともお金です。
自己資金を多く持つということは、融資を受ける借入金額を減らすことができるだけでなく、毎月の借入返済額の軽減もできるので、資金繰りも楽になります。
店舗の健全経営につなげるためにも、無理のない返済計画をたてることができるかが問われます。
第2位:外観・看板の視認性に問題があった。 32.9%
看板が見えづらかったり、看板が見えても美容室だと認識してもらえないなどの問題点あります。
大げさに思われるかもしれませんが、看板はホームページや美容情報サイトの縮小版です。
あなたの美容室を知らない方から見れば、あなたの美容室の情報は看板でしか入ってきません。
十分に集客が出来るようになった美容室であれば良いのですが、開業当初は看板も集客するのに効果的なので、その点をしっかり踏まえて準備することが大事です。
また、看板と違って外観工事は一度行ってしまったら、改装にはお金も時間もかかってしまいますので、開業時にどれだけ考えて作りこめたかが重要となってきます。
第3位:開業時、従業員の教育期間が不足していた。 28.2%
ひとりで独立開業する場合や、昔の職場の仕事仲間などを採用する場合は問題ないと思いますが、新しい従業員を採用する場合は特に注意が必要です。
美容師は技術職であり、各々のスタイルがあります。
スタイルや考え方を曲げさせて無理にサロンの方針へ合わせてもらうよりも、美容師の個性をいかに取り込めるか、サロンのコンセプトに合う美容師を採用できるかがポイントです。
「接客」や「施術」の基本的なマニュアルも大事ですが、個性豊かなスタッフがそろったときにサロンの可能性、利益も広がっていくでしょう。
来客してくださったお客様の顧客満足度にダイレクトに繋がりますので、スタッフは時間をかけて教育していくことと、密なコミュニケーションをとり合っていくことが大事になってきます。
第4位:ターゲットとする顧客をもっと明確化しておけばよかった。 25.9%
美容室の経営で最も重要なことは集客です。
当然のことですが、集客できなければ廃業してしまいます。
誰に(どんな客層に)
何を(どんな価値)
届けるか(どんな市場に参入するのか)
を論理的に選択することです。
失敗するリスクを最小化するためにも、開業してからでは遅いのです。
ターゲットを明確化することは、マーケティングの基本です。
ターゲットを絞ることで、店舗の内装イメージや広告の仕方も変わってきます。
そしてそのターゲットがまた来たくなる施策を徹底・充実させていくことで他の店舗と差別化をすることにもつながります。
第5位:物件の選定に関する知識が不足していた。 18.8%
物件選定は開業後の売上を大きく左右するもっとも重要なポイントです。
希望エリアの探索はターゲット層のリサーチも兼ねたり、物件情報を多く得る事で家賃相場が把握できるので、不動産交渉もしやすくなります。自分で見て歩いて得る地道な行動が、様々な場面で役立つでしょう。
人気エリアから1ブロック離れるだけで家賃が大幅に下がる事もよくあります。
開業後の資金繰りも考え、トータル的にバランスの取れたエリア選定を心掛けましょう。
水道・電気・ガスの状態により、業種によっては工事ができない物件があります。
必ず契約前に専門業者に現地調査してもらいましょう。
居抜き物件は、工事費を安価に抑えられたり、工事が短期間ですんだりメリットが沢山ありますが、残された設備がお店に合わなかったり、不要な設備の取り外しや撤去に費用がかかるなど、デメリットもあります。
安易に物件を決めてしまい、開業後に後悔しないよう時間をかけて慎重に選定しましょう。
◆開業時に融資を受けるには?
美容室を開業される多くのケースで自己資金+融資を利用していますが、実際にどこからどのようにお金を借りるのでしょうか。
銀行
一般的に銀行からの融資は担保が必要となります。
担保がないのであれば、誰かの紹介やコネクションが無ければ難しいといえます。
ほかに可能性としてあるのは、全国信用保証協会連合会を通して融資を受ける形です。
こちらの場合も基準が一人一人違ってくるので、調査などが必要となってきます。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、外務省所管の特殊会社であり、国の政策金融機関です。
経営実績がない創業時の融資を積極的に行っているところです。
特徴としては、銀行と違い「誰にお金を貸すのか」ではなく、「どこにお金を貸すのか」という考えなので、まず場所を確保することがひとつのポイントです。
その物件に合致した、内装の平面図などが必要になってくるので、物件の申し込み(仮決定)をしなければなりません。
そして、説得力のある事業計画書や返済計画書などの作成が重要になってきますので、時間と手間を大幅カットできるうえ、ポイントを押さえた計画書の作成が可能な融資のスぺシャリストにお任せすることもオススメします。
◆保険は本当に必要なのか?
美容室経営にとって、会社の安定経営は切なる願い。
しかしながら、日々激しく変化する経済環境の中で、会社経営は常に状況変化のリスクにさらされています。
生命保険
経営者に万一のことがあったら
・売上減少・利益減少に対処するための緊急予備資金
・借入金・買掛金・支払手形の返済、決済資金
・残されたご家族のための役員退職慰労金・弔慰金
・相続・事業継承対策資金
そんな会社の危機を乗り切るために「生命保険」が活用できます。
損害保険
第三者に損害を与えてしまい、法律上の損害賠償責任を負担する時に対応するための保険として賠償責任保険があります。
・仕上がり不良に起因する損害・精神的損害
・医療行為を原因とする損害
起こらないとは言い切れませんね。。
契約に際しては、法人は決算書売上高、個人事業主は確定申告売上高・新規開業の場合は予想売上高などが必要となりますのであらかじめ調べておきましょう。
◆オープン時の集客方法は?
実は、営業後4ヶ月の新規顧客数で、今後の美容室の経営が上手くいくかどうかが決まると言われています。
勤務時代の既存のお客様だけでなく、未来のお客様を獲得するには、集客するための長期的に戦略を考えなくてはなりません。
そこで、「紙媒体」と「WEB媒体」に分けて、詳しくご説明していきます。
紙媒体
半径500m圏内のお客様が、そのお店の売上の8割を占めるといわれているので、その圏内のお客様に向けて宣伝広告をうつのがより効果的ということですね。
広告では無いものの、制作しておくと便利なものも、一緒にあげておきます↓
・店舗の前面に貼りだすオープンを伝える張り紙広告
・新聞折込チラシやパンフレットなどのポスティング
・DM(ダイレクトメール)
・名刺やポイントカード
・メンバーズカードやカルテ
お店のオープン挨拶、お店のコンセプト、競合を意識したサービス内容などでお店のこだわりをアピールしましょう。
そして、一度ご来店いただいたお客様には、ポイントカードや名刺をお渡しし、継続して利用頂けるきっかけ作りで再来率をあげていきましょう。
WEB媒体
代表的な有料方法として、googleのアドワーズやyahooが提供するリスティング広告あります。
検索エンジン結果画面に広告が表示されるタイプと、サイトなどの広告枠に広告が表示されるタイプがあり、いずれにしてもクリック広告と言われワンクリック毎に課金(数十円〜数百円程度)されます。
これらは、クリックされないと課金されないので、無駄な広告費がかからず費用対効果が高いと言われています。
また、通常であれば何万、何十万もかかるはずの集客効果を、無料で得られるものも使わない手がありません。
Facebook・Twitter・InstagramといったSNS、もはや定番ですね。
これらは無料といえども拡散能力が高いので、上手に使えると効率よく集客できるので是非使うべきでだと思います。
自分から発信していかないことには何も始まらないですからね。
まとめ
美容室を独立開業するには、とても多くのことを考え実行していかなければいけません。
ここに書かせていただいたことは、まだ細かいことが書き切れていません。
しっかりとした計画がなければ、トラブルや資金ショートにもなりかねませんので、これを読んで、まず自分は何から始めたらよいのかをお店づくりのイメージをふくらませてください。
開業前にもっと学んでおけばよかったということが無いように、余裕を持って準備を進めてくださいね!