
美容室の経営者が忘れてはいけない7個のこと
経営をするからには、利益を出していくことが大前提となりますよね。
利益=売上ーコストなので、利益を増やすためには、基本的には、売上を上げるか、コストを下げるかにまとめられます。
⇒コストを減らして売上を増やす
⇒コスト据え置きで売上を増やす
⇒コストも増えるが売上も増やす
⇒コストを減らして売上は据え置き
この4パターンを念頭に、美容室経営者なら絶対に忘れてはいけない7つのことをお話しします!
目次
削るコストと削れないコスト
コストには何があるか
1つ目は店舗でかかるコストのことです。
利益を伸ばすために、かかるコストは少ないほうが良さそうです。
ただ店舗を経営にしていくには、多くのコストがかかっています。
大きく分けてコストには2種類あります。
①イニシャルコスト⇒初期費用(出店に必要な費用)
②ランニングコスト⇒運用費用(店舗運営に必要な費用)
特に②のランニングコストに関しては、さらに2つに分けることができます。
(1)固定費⇒売上に関係なくかかるコスト
(2)変動費⇒売上の増減によって、金額が増減するコスト
固定費は、主に家賃や人件費、リース代があげられます。
これは一人もお客さんが来なくても絶対にかかってしまうコストとなっています。
それに対して、変動費は材料費や歩合の場合の人件費、水光熱費などがあげられます。
これはお客さんが来れば来るほど、多くかかっていくものです。
固定費というのは、基本的に変えることが難しいです(すぐに物件変更なんて無理ですよね)。
しかし、お客さんが来なくてもかかるコストというのは、だいぶ経営に打撃を与えます。
できるだけ固定費を抑えるということを覚えておいて下さい。
ただ全ての固定費を削れというわけではなく、これは本当に必要なのか、を考えるようにして下さい。
この通信料金はいるのか、雑誌の購読料は、このサービスはお客さんが来る・満足してたくさんお金を払ってくれることに繋がっているのかを考えてみて下さい。
その理由が思いつかないときはすぐやめるべきです。
月々数千円でも年単位で考えれば、数万円になってしまいます。
削ってはいけないコストの判斷
ただ削ってはいけないコストというのもあります。
それは上でも伝えた、お客さんがより多くのお金を払う理由(=より多くの満足度)に繋がるものです。
利益を減らしてしまうコストはすぐに減らさないとといけませんが、売上が伸びていくコストは減らしてはいけません。
ただホットペッパービューティーなどのポータルサイトは注意が必要です。
今となっては必要不可欠な素晴らしいサービスですが、本当にかけているコストに対して見合った集客ができているかをたしかめないといけません。
集客するのは10000万/人で、施術料が9000円でリピートしなければ、単純に赤字ですからね。
お客さんがとにかく多く来ていればいいのではなく、利益になるお客様がどれだけ来ているのかも重要な指標になります。
売上を伸ばすよりもっと簡単に利益を出す方法
美容室を運営していく上で、利益を出していく重要性はお伝えしました。
そこでコストと売上の関係も復習しましたね。
次は、「損益分岐点売上高」です。
経営者のみなさんには同じみですが、念のため確認しておきましょう!!
損益分岐点とは、簡単に言うと、利益がちょうどゼロになる売上高です。
利益=売上ーコスト(固定費+変動費)なので、売上とコストが一致するポイントです。
つまり、利益が出るには、以下の3つのいづれかが必要です。
①売上を伸ばす
②固定費を下げる
③変動比率を下げる
*変動費率は「変動費÷売上高」で求められる、売上に対する変動費の影響力をいいます。
固定費を下げる
以下の図でわかるように、固定費を下げることで、損益分岐点が左に動きます。
つまり、少ない売上高でも利益が出るようになるということです。
大塚家具の苦境を損益分岐点分析で考える~GLOBIS知見録
変動比率を下げる
しかし、売上に対する変動費の割合が高くなってしまうとそうもいきません。
固定費は下がったけど、サービスにしめる材料費が増えたりすると、以下の図のようになってしまいます。
ただ売上を上げることだけではなく、どの種類のコストをどれだけ減らすと利益が出るのかを考えるきっかけになればと思います。
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やっぱり生産性はすごく大切
何人でいくらの売上をあげているのか
美容室は、労働集約性の高いサービスなので、人件費率が高くなりがちです。
そこで重要なのが、人時生産性です。
一番いいのは最も少ない人数で最大の売上をあげることです。
売上や人件費には、しっかりと目を配っている経営者は多いですが、生産性となるとやや意識が薄くなってしまうようです。
これはサラリーマンでも一緒で、問題になっているのと同じです。
今のサロンスタッフ一人あたりいくらの売上を上げているのか、そのバランスが悪ければ、人を解雇したり、集客力を高めたり、スタッフの教育をしていかないといけないですよね。
人を解雇すれば、固定費の人件費が減るので、生産性が上がるとともに損益分岐点も左に動きます。
たとえ売上が下がったとしても利益がでる場合もあるので、いかに利益をあげるかという点で考えるということが重要になってきます。
売上が下がるのは嬉しくないことですが、良しと思ってやっていることが、逆に手元に残るはずの利益を減らしている可能性があるということを覚えておいて下さい。
生産性なしに採用なんてできない
つまり、採用に関しても同じことが言えるのです。
人手が足りない!と思っても、実は労働生産性を上げれば、今の人数でお客さんがさばける場合もあります。
一人採用して給与を払うほうがいいのか、代わりに生産性を上げるシステムを導入するのか、など手段はたくさんありますが、採用するのと他の手段のどちらが安くつくのかは考えるべきです。
むやみに固定費を増やすと、損益分岐点も右側に移るので、利益が出づらくなってしまいます。
目安としては、例えば、
「スタッフの労働生産性の平均が70万/月を越えたら、一人を採用する」
などと決めておけば、生産性を担保しながら、採用ができて、より売上と利益の増加を狙えそうです。
どうしても人を採用したい!!という場合には、パートの方を検討するのもいいでしょう。
パートの方は時間給ですから固定費としてはそこまで負担にはなりません。
美容師資格をもっているけど、お休みをもらっていたママさんなど、採用の余地はまだまだありますよ!!
■労働生産性を上げるために
①作業の効率化(やるべきことを早くやる仕組みをつくる)や合理化(やる必要のないことをやめる)して売上を上げる
②スタッフの人数を減らしてしまう
③正規スタッフではなく、業務委託やパートさんを雇う
美容室の経営者として考える時間を作り出す
経営者が現場にいなくても良い仕組みをつくる
美容室の経営者には、多くの仕事があります。
店舗の数字の管理をはじめ、集客、採用、スタッフの育成、雑務など…
しかし、それらは全て経営者の「あなた」がやらないといけないことだけで構成されているのでしょうか?
それによって、経営者として果たすべき役割を果たせていないようなら、むしろ逆効果になってしまっています。
店舗でやらなければいけないことが多いのは、わかります。そうじゃないとまわらないかもしれない。
でもそのことが店舗の成長を妨げている可能性があるのです。
チェーンの美容室などは現場の店長に多くの権限を移譲して、店舗運営をさせています。
つまり、仕組みさえ整ってしまえば、ある程度は店舗の運営自体はできてしまうのです。
その運営を支える集客や採用といった業務にいかに時間をさけるか、がサロンの成長を左右します。
日々のサロンワークでなく、本業は「店舗の経営」です。
スタッフさんに仕事を徐々に任せていくことで、経営に業務内容をシフトしていくことが重要です。
どんどん任せよう!それが育成にも繋がる
経営者としての時間を増やしていくために、どんどん自分の業務をスタッフに任せてしまいましょう!
もちろんそのためには、任せられる仕組みを作らないといけません。
この仕組みづくりが経営者としての仕事の一つになってきます。
任せることによって、①自分の時間ができる②スタッフは任せられたことで新たなやりがいが生まれる、というメリットがあります。
優秀なスタッフを店長にして、自分はオーナーになってもいいわけです。
材料注文などをはじめ、多くのことはマニュアル化できます。
スタッフの教育/評価制度、材料注文、備品管理、サロンボード管理、自分自身のお客様でさえもです。
一番ネックになるのは現金の管理でしょうから、これは自分でやったり、本当に信頼できる人間に頼むのがいいでしょう。
それもちゃんと数字を管理できているという前提が必要です。
経営者がやるべき仕事以外してはいけない
まずルーティンワークはなくそう
ルーティンワークはなくしましょう。
さきほど、多くのことをスタッフに任せる話をしました。
ということは、ルーティンワークのようなマニュアル化できることは、あなたの手元に残っていないはずです。
まだそういった仕事が残っていれば、それもスタッフに任せてしまいましょう!
経営判断的に、少しはルーティンワークは残ってしまうかも知れませんが、本当にあなたしかできなこと以外は、すべてスタッフを信じて任せてください。
問題は集客、そして採用
それができたら、あなたが取り組むべきは1つです。
それは集客です。
新規顧客をいかにして集め、いかして定着させ、いかにして一人あたり単価をあげ、いかにリピート期間を短くしていくか、です。
そのための、新メニュー開発や、新商材、販促方法の選別、店舗デザインなど多くのことができます。
これは経営者しかできない仕事です。経営者が決めるべき内容になります。
採用に関しても同様のことが言えますが、集客できていなければ、採用は必要ないので、集客にまずは専念しましょう。
美容室経営者は、まず集客をしっかりやる。企画し行動にうつすこと。
それによって、スタッフの仕事は生まれますし、売上は上がっていきます。
集客は簡単ではありません。簡単にはできないからこそ、経営者として取り組むべき内容としてあげられるです。
美容室のコンセプトに基づき、どんなお客さんにどんな価値を与えたいのか?
そのためにこの美容室にあることは何なのか?
そして、そういったお客さんを集めるためにはどうしたらいいのか?
何をお客さんに伝えるべきか、どんな伝え方をするべきか、どんな媒体や経路でするべきか、などを考える必要があるのです。
そして、スタッフをどんどん育て、お店の売上をあげていく。
これまでのようなオーナー兼スタイリストではなく、経営者としていきていくべきなのです。