
美容室経営では必須?雇用形態の決め方の基本と知らないと損する注意ポイント!
目次
何も考えずに決めると損をする雇用形態
前回の記事でお話ししたように、雇用形態はいくつかあってそれぞれに特徴があるんですよね。
以前の記事はこちら。
雇用形態は、注意して選ばないと法的な争いになることもしばしばあります…
恐ろしいです。
入らなければいけない保険が決まっていたり、所定の労働時間が決まっていたりと、
多くの条件や制約がそれぞれの雇用形態にあります。
これを見誤ると、
既存のスタッフに不満が募っていき、離職に繋がってしまったり、
対応の悪さからお客さんが離れていってしまったり、
悪いことが連鎖して続いていきます。
離職の原因の1つに「人間関係」があります。
せっかく雇ったのに、早期退職。
既存のスタッフの離職なんてことのならないようにしないといけないですね。
では、どんな要望があるときに、どんな雇用形態で採用すればいいのか簡単にまとめてみました。
ポイントは事業計画に沿っているか
【POINT】どんな美容室にしていきたいか、から逆算する
今採用しないとだめなんだ!!潰れる!!
という場合を除いては、将来の美容室のありようから逆算して採用をするべきです。
将来的に、サロンのコンセプトに同意出来ない人は、離職していってしまいます。
そうならないためにも、あらかじめ、
①将来はこういうコンセプトでやっていく
②だから、そのコンセプトに合う、こういう人を採用しよう
ぐらいは考えておきましょう。
コンセプトの考え方はこちら。
将来どんな規模の美容室にしていくというのが決まれば、
いつまでに何人を採用しないといけないかがわかりますよね。
どんなコンセプトのサロンにしたいかで、どんな人柄の人を採用するべきかも決まります。
雇用形態ごとに当てはまる条件とは?
将来の中核を担う人材が欲しい!
この場合は、「正社員」の採用をを第一候補するのがいいでしょう。
将来は現場の統括(=店長など)を任せたい!!という要望なら、長期間フルタイムで働くことが可能な、「正社員」がいいです。
例えば、
・自分は将来現場に立たないで、オーナーとして活躍したい
・多店舗出店するために、店舗を任せることができる人を育てたい
店舗を離れるとしたら、店舗で技術者として働く能力と同様に、
店舗の業績を管理することができる能力を持つ人が必要になってきます。
そのため、長期的に育成することができる正社員としての雇用が第一候補になるのです。
相手にとってもそういったポジションで採用されていると思えば、
より努力しないと!!と思えますし、大切にされている感じを受け取ることができます。
業務委託でも同様の判斷をすることができそうです。
条件は違いますが、多くの大手サロンでも実践されています。
それに関しては、改めて説明します。
【まとめ】
・将来現場を任せる人が欲しいなら、「正社員」採用で育成する。
⇒サービス力に加えて、店舗マネジメント力が必要
⇒サロンのコンセプトを体現できる必要がある
⇒そのため長期の育成を前提として考えることができる正社員が望ましい
⇒ただ期待している分、離職されるとショックが非常にでかい…
一旦力を見極めてから採用したい
この場合は、「契約社員」が候補にあがります。
一社員として、力量を確かめる場合に必要なのは、
いかに売上をあげることができるか、です。
そのために大きなウェイトを締めているのが、技術力ですよね。
いかに接客が良くても、技術がない人にはお客さんはつかないはずです。
これに関しては、正直雇ってみないとわからない、というのが本音だと思います。
なので、お試し期間というかたちで契約を結ぶ場合もあるそうです。
いきなり正社員だと、能力不足のときの失うものが大きい。だから契約期間をつくるという発想です。
美容師さんもお試しでサロンの雰囲気を体験できるというメリットはもちろんあります。
いわゆる体験入店にも近いかもしれません。
そうほうが、それぞれの技術や環境に満足すれば、はれて契約。という流れになります。
【まとめ】
・技術力の様子見をして、失敗をさけたいなら「契約社員」で採用する
⇒いわば、一定期間の体験に入店のイメージ
⇒サロンはそのひとの仕事ぶりを見て、採用の判斷をすることができ、失敗を避けやすい
⇒美容師も働いてみないとわからない雰囲気を直に感じることができる
⇒入店対応の準備が結構大変だったりするので、そこまで気軽というわけではない
簡単な業務を担当できる存在が欲しい
こういった要望の場合には、アルバイトなども検討することができます。
美容師資格が必要なので、単純なアルバイト採用ではないですが、意外と狙い目かもしれません。
それはカット等ではなく、予約対応や受付対応を忙しい時間だけやってもらうという業務です。
ものすごく忙しい時間帯だと、アシスタントさんでも手が回らない状態になったりしますし、
予約の電話を逃してしまうのは、大きな機会損失ですよね(得られたはずの売上を逃してしまう!)。
特にスタイリストさんしかいないサロンは大変ですよね。
そこで、アルバイト採用です!!
美容師さんを引退して、主婦になっている方などを対象に、忙しい時間帯だけ対応してもらうのです。
アルバイトはシフトの融通が聞きますし、家事や子育てで忙しい人たちもスキマ時間を活かせるというメリットがあります。
他の雇用形態よりも制約は多いですが、うまく活用できれば、
サロンの成長や拡大に大きな支えとなってくれる可能性もあります。
【まとめ】
・簡単な業務だけと手が回っていないことを任せたい時は、「アルバイト」採用も有り
⇒結婚や出産で一度やめたけど、スキマ時間を活用したい人がターゲット
⇒受付や予約対応を本当に忙しい時間帯だけ依頼する
⇒彼女たちが復帰したいと思った時に、再雇用のチャンスがあるかも
⇒シフト制なので、かならず忙しい時に入ってもらえるとは限らない
空きスペースの活用や店舗展開のため!
この条件なら「業務委託」が一般的な採用方法になりそうです。
美容師さんは、非常に独立志向が強い職種ですよね。
そこで自分のサロンを持つ前にフリーランス⇒業務委託として、活躍しようと思う人もいます。
毎年10000店舗ぐらい新規で出店していますからね(7000店舗閉店で純増は3000店舗ほど)。
出店した人で、これだけの数ですから、そう思っている人はかなり多いと思います。
【条件:1】
・空きスペースを活用したいケース
集客や採用がうまくいっていないとセット面が余ってしまうことありますよね。
そのスペースを何もしないとほっておくのは非常にまずい!!
そこで、面貸しというかたちで業務委託の美容師さんに貸し出すケースは非常に多いですね。
たまたま、今だけ面が余ってしまっている、忙しいときはフルで使いたい!!という要望の場合なら、面貸しが非常に有効ですね!
彼らは個人事業主という扱いなので、保険の加盟も必要ありません。
そのため、かかるコストは、正社員と段違いです。
そもそも人件費ありませんし。
もし、ずっと空きスペースを活用したい場合は、
①総合美容サロンとして、別業態も導入して、経営していく
②どこかのFC業態に、貸し出すことで坪当たりの賃料をもらい続ける
などの選択肢がありそうですね。
【条件:2】
・店舗展開で、新店舗の店長になってもらうタイプ
これはAguグループがやっていることにかなり近い技ですね。
いきなりノウハウもなしに独立するのは、かなり厳しい。
なら、一度既存のサロンで店長として、実績を積んで、そのお店を買い取るかたちで独立をする。
というパターンです。
これは双方にメリットがあって、
<オーナーのメリット>
*条件によります。
・美容室の(営業権の)売却益がまず手に入る
・毎月店舗の賃料収入が入ってくる
・スタッフの管理という手間が一気になくなる
・閉店などのリスクを負う必要がなくなる
<スタッフのメリット>
*条件によります。
・ある程度収益が約束された店舗を運営することができる
・一から開業準備をする必要がない
・顧客リストが整っていて、全体的にスタート地点が高い
・将来的に、自分自身も同じ仕組みでオーナーになれる可能性がある
・ただ自分の完全オリジナルにすることが難しい(改装すれば別ですが)
もちろん業務委託に限らず、正社員でもこれは可能ですが、
美容師さんの意向や、そもそものあなたの要望に合わせて、こちらにだけ記載しました。
まとめ
雇用形態の選択は、なんとなく決めてしまうと大失敗してしまう可能性があります。
経営者のあなたにとって、採用はサロンの成長に大きく関わる要素ですが、
スタッフにとっても、人生を左右するような大きな決断になります。
あなたの美容室が目指す方向や将来のビジョンに合わない人だと、最終的には離職されてしまいます。
同じ方向に向かって、お互いのために前進していくことが大切です。