
美容室の経営には理念が大切|お客さんスタッフさんのためになる理念
*こんな方向けの記事です。
①ビジョンとかミッションとか言われたけど、そもそもよくわからない
②実際に創ろうと思っているけど、どうやったらうまくできるかわからない
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あなたの美容室には経営理念がありますか?
美容室を運営していく上での経営者の方の「想い」とも言えますし、開業時に考えた「コンセプト」にも近いものです。
それは、数ある美容室の中から、あなたの美容室に来てくれるお客様へのメッセージでもありますし、同じく働いてくれているスタッフの方へのメッセージでもあります。
美容の世界に限らず、今成功をしているものに共通することは「ストーリー性」があるということです。
ただ便利であったり、デザイン性があるだけではうまくいかなくなってきているのです。
例えば、iPhoneがこれほどに売れているのは、高機能でデザイン性が高いだけでなく、ジョブズが創り上げてきた「ストーリー」つまり「想い」があるからと言われています。
それでは、美容室経営において、
①【概念論】経営理念(メッセージ)がどのような役割を果たすのか
②【方法論】どのように経営理念を創り、それをお客さんやスタッフに伝えていくか
をご説明します。
方法論を知りたい人は②から!!
経営理念の役割とは:美容室経営に経営理念は必要不可欠
そもそも経営理念とは何か
経営理念とは、この先あなたとの美容室がどのような状態であるべきかを明文化したものです。
あなたの美容室が大切にする信念を形作るものと言ってもいいでしょう。
簡単に考えるなら、あなたが経営する美容室がどのような存在価値を目指すかを決めることです。
何のためにこの美容室はあるのか、どんな美容室を目指すのか。
経営していくことが優先で、その先にある存在価値はついてくるものなんて口にする人がいますが、実際成功した美容室を軌道にのせている方は、根底に経営理念を明確にしています。
自分たちのあるべき理想像があるからこそ、日々の忙しい仕事の中でも、ブレることなく進むことができるのです。
特に会社などでは、ビジョン、ミッション、バリューといったような形で経営理念をつくっているところが多いです。
ビジョン
ビジョンには、大きく2つの意味があります。
1つ目は、お客さんからみて、今の状態からどんな未来に連れて行ってくれるのか想いに応えるものです。
お客さんは、今あなたの美容室に通い続けることでどんな未来を期待できるのかを知りたいのです。
2つ目は、自分たちの視点から、あなたの美容室のあるべき姿です。
どのような美容室であるのか、どのくらいの規模なのか、どんな価値を提供する美容室なのかということを決めます。
そうすることによって、経営者としても進むべき道を考えることができますし、そこで働くスタッフさんも自分の道を考えやすくなります。
ミッション
ミッションもビジョンと同じくお客さんと社内向けの2パターンで考えてみましょう。
ミッションがビジョンと違うのは、「現在」にフォーカスしている点です。
1つ目は、お客さんにとって、自分たちの存在意義とは何かというもの。
2つ目は、私たちはどんなお客さんに、どんな価値を提供することが使命なのかというもの
たいていの場合、ミッションまで明確になると、組織が一丸となってまとまりやすくなります。
バリュー
バリューとはミッション(現在)を達成しつつ、ビジョン(未来)につなげていくための行動指針のようなものです。
こういう基準で行動していきましょう!!というような基準を決めるようなものです。
ビジョン/ミッション/バリューの例
例として、「無印良品」で有名な、良品計画の3つを紹介します。
株式会社良品計画 企業理念
■ビジョン
「良品」には、
あらかじめ用意された正解はない。
しかし、自ら問いかければ、
無限の可能性が見えてくる
■ミッション
良品価値の探求 Quest Value
「良品」の新たな価値と魅力を生活者の視点で探求し、提供していく。
成長の良循環 Positive Spiral
「良品」の公正で透明な事業活動を通じ、グローバルな成長と発展に挑戦していく。
最良のパートナーシップ Best Partnership
仲間を尊重し、取引先との信頼を深め、「良品」の豊かな世界を拡げていく。
■バリュー
1.カスタマー・レスポンスの徹底
2.地球大の発想と行動
3.地域コミュニティーと共に栄える
4.誠実で、しかも正直であれ
5.全てにコミュニケーションを
株式会社良品計画の企業理念だけでなく、無印良品の理念も、ビジョン・ミッション・バリューを作るうえで参考になるので、目を通してみてくださいね。
経営理念があるとないのでは何が違うのか
何を目指して、今を過ごしているのかわからなくなる
経営理念がないと、まずどのような美容室経営をしていけばいいか、わからなくなります。
その結果、日々をなんとなく過ごすことになり、とりあえず来てくれたお客さんを相手にして、なんとか一日を過ごす…なんてことになってしまいます。
それもそのはずです。
この状態では、行き先も目的も決めずにフラフラするようなものだからです。
行き先や目的が決まっているからこそ、日々どのように過ごすべきかを考えることができます。
だからこそ、まずビジョンを設定することが大切です。
まずは決めてみましょう。最初は違ったっていいじゃないですか。そしたらまた直せばいい、それだけです。
一度決めると、これは違うな、これはそのとおりだなと思うことが出てきます。
そのときに、これだ!というものを最終的にビジョンにすればいい、それだけです。
どうしても難しく考えてしまうと、なんだか嫌になってきます。
だから最初は気楽に、まず文字で書いてみるといいです。そこからどんどん良くしていけばいいのです。
【CHECK】
経営理念がないと、目指すべき場所がないと、どう今を過ごしたらいいのかわからなくなってしまう。
今、どんなことをするのが正しいのかわからなくなる
経営理念が明確でないと、今何をすることが正しいのか決めることができなくなってしまいます。
その結果、日々やっていることに自信が持てなくなったり、不必要な行動に時間やお金をつかってしまう…なんてことにもなります。
だからこそ、今どんな価値が出していきたいかを明確にするために、ミッションを設定することが大切です。
どんな価値をお客さんに提供しようと思っているのか存在か、がミッションです。
それはどこよりも短い施術時間だったり、どこよりも安い価格だったり、どこよりも良い品質の薬剤を使用しているだったり、どこよりも時間を使った丁寧なサービスだったり…色々なことが考えられます。
短い施術時間を第一の価値としたのが、QBHouseさんですよね。
できるだけ短くするのが価値だとしたからこそ、余計なサービスは全部カットして、おしゃれなデザインより、いかに髪を早くカットするかという行動をとれるようになっているのです。
これもまずは決めてみましょう。
実はビジョンより先に決めてもいいです。未来のことよりも現在のことのほうがイメージがしやすいですからね。
考え方や決め方は方法論のところで説明します。
【CHECK】
経営理念がないと、今何をすることが正しいのか決めることができなくなる
経営理念をどのように考え、創り、伝えていくか:大事なのは「ストーリー性」
経営理念をどのように考える始めるといいか
今回は経営理念を「ビジョン」「ミッション」「バリュー」の三種類でまとめて説明しました。
そこで経営理念としてつくるものを、上記の3つに当てはめて今回は考えてみましょう!!
まず最初につくるべきは「ミッション」つまり現在の状態です。
もちろん「ビジョン=未来」からつくってもいいのですが、最初は少しイメージがしづらいと思います。
なので、現在の自分たちがどんな価値をお客さん/スタッフさんに提供しているのか/するべきか(ミッション)を考え、それをやっていった将来には彼らにどんな未来を見せられるのか(ビジョン)を考えていきましょう!!
それぞれのポイントで「ビジョン」「ミッション」「バリュー」の作り方を例とともにご説明します。
【CHECK】
「ミッション」⇒「ビジョン」⇒「バリュー」の順番でつくるとイメージしやすい
最初からうまく創ろうとしなくても良い:いいものが出来れば、新しく創り変える気持ちで
まずはミッションから創ってみよう
「ミッション」は、以下の2つでしたね。
1つ目は、お客さんにとって、自分たちの存在意義とは何かというもの。
2つ目は、私たちはどんなお客さんに、どんな価値を提供することが使命なのかというもの
つまり、【どんなお客さん】に【どんな価値を提供】していて、【どんな存在価値がある】のか、という3つの質問に応える必要があります。
これを一から考えると、すごく大変な気がするので、カンタンに出来る方法をお伝えします。
それは、「今自分たちのサロンに来てくれているお客さんのお話しを聞くこと」です。
あなたのサロンのお客さんは、極端に言えば、
全国25万店舗ある美容室の中から、1店舗を選んで来ているわけです。そこに理由がないわけがありません。
そこで以下の3つを確認して下さい。
①なぜ数あるサロンから、このサロンを選んだのか?
②それによって得られるものは何か?
③なぜそれを得たいと思ったのか?
そこに、お客さんの思うあなたのサロンの「存在価値」が浮かび上がってきます。
今来ているお客さんたちが【どんなお客さん】という質問の答えになり、
その人たちがあなたのサロンを選んでくれる理由が【提供している価値】になり、
その2つがあなたのサロンの【存在価値】を教えてくれます。
まずはお客さんに話を聞いてみましょう。
確認しないといけないことはたったの3つです、すごくカンタンですよね。
シャンプーしたり、カットしているときに、さらっと聞いてみましょう!!
【CHECK】
ミッションを創るために「どんなお客さん」に「どんな価値を提供」していて、「どんな存在価値がある」のか、という3つの質問に応える。
お客さんに質問することが、上記の3つの質問に応える糸口になる
次はビジョンを描いてみよう
「ビジョン」は以下の2つでしたね。
1つ目は、お客さんからみて、今の状態からどんな未来に連れて行ってくれるのか想いに応えるものです。
2つ目は、自分たちの視点から、あなたの美容室のあるべき姿です。
つまり、
今のミッションを実現しようとしているときに、【お客さんはどんな未来を想像】しているか、
自分たちはどんな美容室でいたいのか、【どんな価値を継続的に提供していたい】のか、
という2つの質問に応える必要があります。
まずはミッションから考えることができる、1つ目を考えるようにしましょう。
あなたのサロンの存在価値を体感してくれているお客さんは、あなたのサロンに訪れることで、どんな未来を期待しているのでしょうか?
綺麗になりたいという気持ち1つでも色々な目的がありますし、どう綺麗になりたいのかは違いますよね。
この例を活かすなら、「なぜ綺麗になりたいのか?」まで突っ込んで考える必要もあります。
自分磨きのため、デートのため、自分へのご褒美のため…お客さんはあなたのサロンに行くことでどんな未来を想像しているのでしょうか?
これを明確にすることで、あなたのサロンで働くスタッフさんにも未来のストーリを見せることができます。
つまり、採用活動や勤続への影響力も強いということです。
それが二つ目の質問に応えることになります。
このサロンで働くことで、自分はどんなふうに成長できるのか、どんな働き方をすることができるのか、などをスタッフの方は常に考えています。
その疑問に対して、「ここで働くということはお客さんにこういう未来を感じてもらうことを、美容という力を通して実現すること」というストーリーを見せることができるのです。
これこそ、一番最初にお伝えした、Appleの「ストーリー性」「メッセージ性」と通じます。
あなた自身がサロンを経営する上でも大きな指針となります。
ぜひ明確な言葉にして、紙に書いてみましょう。
いきなり綺麗な文章を作る必要はありません。
まずは一文字、あなたの「想い」を書いてみましょう。
【CHECK】
あなたのサロンに来ることで「お客さんはどんな未来を想像」しているか、自分たちは「どんな価値を継続的に提供していたい】のか、に応える
ビジョンを決めることがお客さんにとっても、スタッフさんにとっても、自分にとっても大きな指針となる
最後にバリューで指針を明確にしよう
バリューとはミッション(現在)を達成しつつ、ビジョン(未来)につなげていくための行動指針のようなものでしたね。
いきなりどんな行動をしたらいいのか、を考えるのは大変なので、イメージしやすい方法をお教えします。
それは、すでに考えてある「ミッション」を達成しているときに、している良い行動を思い浮かべればいいのです。
そんなに小難しく考える必要はなくて、最初は「いい接客をする」「お客さんに合わせて話を振る」、「お客さんの要望通りのカットをする」などでいいのです。
そのリスト作成したら、「いい接客」とは何か?自分がいい接客をしているときは、どんなことを意識しているか、実際にどんなことをしている?を思い出せばOKです。
大切なことなので、何度も言いますが、最初から直すところのない良いものは作れません。
まずはいつもの店内を思い出して、紙に書き出してみる。
そこからはじめましょう。
そしたら、同じような内容の行動をまとめて、それが結局どんな行動指針なのかを考えればいいのです。
ちなみに、先述の良品計画(無印良品)さんのバリューは、
1.カスタマー・レスポンスの徹底
2.地球大の発想と行動
3.地域コミュニティーと共に栄える
4.誠実で、しかも正直であれ
5.全てにコミュニケーションを
行動指針ですので、あまり細かく決めすぎず、自分たちの行動はこの指針にのっとっているかと確認できるものにしましょう。
経営理念をどのように伝えていくか
「ストーリー」で伝えることは絶対条件
せっかくつくった経営理念も、誰にも目に入らない状態では、なんの変化も起こせません。
つくることが目的ではなく、あくまでもお客さんに「想い」が届いて、スタッフさんにも「想い」を共有してもらわないといけません。
そこで重要なのは、「ストーリー」で伝えることです。
機械的に、今日からこれでやりますと言うだけでは、スタッフさんはわかりませんし、それが結局お客さんにも伝わりません。
こういうことをします!という伝え方よりも格段に効果の高いストーリーでの伝え方をご紹介します。
それは、「なぜ?」→「どうやって?」→「何を?」の順番で話すということです。
「ストーリー」が人の心を動かす
今目の前にあることを理解して、しっかりこなしている人はたくさんいますが、「なぜそれをやっているのか?」「どんな信念の元にやっているのか?」を理解している人はそう多くありません。
こちらがすごくわかりやすく解説してくれています。日本語でスクリプトも出るので、一読をおすすめします。
サイモン シネック | 優れたリーダーはどうやって行動を促すか
もしAppleがこう言ったら、皆さんはiPhoneに手をのばすでしょうか?
「我々のコンピュータは素晴らしく、美しいデザインで簡単に使え、ユーザフレンドリー ひとつ いかがですか?」
おそらく、他の携帯電話と同じような扱いになるはずです。
他にも、
「私たちは新しい法律事務所を開所しました・最高の弁護士たちと大手のクライアントを抱えています・私たちは常にクライアント第一で行動します」
「これが私達の車のニューモデルです・低燃費で・シートは総革張り いかがですか?」
これでは人は心を動かされないのです。
では、どんな言い方に心を動かされるのか?
それが「ストーリー」なのです。
「我々のすることはすべて世界を変えるという信念で行っていて、違う考え方に価値があると信じています・私たちが世界を変える手段は美しくデザインされ、簡単に使えて親しみやすい製品です・ こうして素晴らしいコンピュータができあがりました」
こんなふうにAppleは私たちにストーリーを見せてくれています。
ここで重要なことは、人は「何を」ではなく 「なぜ」に心動かされるということです。
人は「何を」ではなく「なぜ」、つまり「そこにある信念」や「ストーリー性」に心動かされるのです。
あなたのサロンで「ストーリー」を創るなら
あなたのサロンで「ストーリー」を伝えていくとしたら、「なぜ」「どうやって」「何を」をビジョン・ミッション・バリューに当てはめれば良いのです。
そして、そのビジョンを思い描くにあたったあなたの「想い」をあわせて伝えるだけで十分です。
それはあなたがしてきた経験、いい思い出や悪い思い出、すべてをひっくるめた上で、どうしてそのビジョンを立てたのかを伝えましょう。
それが、あなたのサロンにしかない「オリジナルのストーリー」なのです。
そこに良いも悪いもありません。
もの消費よりもコト消費(体験型消費)に移っている中で、お客さんもスタッフさんも「ストーリー性」を望んでいるのです。
ただ紙を切りたい、マッサージを受けたい、ネイルやアイラッシュをしたいではないのです。
「ストーリー」とそこにある「想い」がこれからの美容室には必須なのです。
だって、お客さんもスタッフさんも全国25万店舗ある美容室の中から、あなたの美容室を1つ選んでいるわけですから。
まとめ
長い記事だったので、だいぶ読むのに疲れてしまったと思います。
平たく言えば、今回伝えたかったことは、
ビジョン・ミッション・バリューは生き残りには必須:ぜひつくってみよう
そこには「ストーリー」とあなたの「想い」が大切です:そこが1番の差別化要素になる
ということです。
何度も言いますが、最初からかっこいい理念なんて作れません。
ですが、一回試しにつくってみないと一生できあがりません。
だからこそ、一度カンタンにつくってみましょう。
そこから何回か書き直して、納得いくものを作っていけばいいのです。
途中で変えてしまったっていいわけですから。
ぜひ何度も読み返して、実践にうつしていってほしいと思います。
質問などがあれば、ぜひFacebookから、連絡を下さい。
お待ちしています。
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